見えてきた金融政策の限界
強まる財政政策への期待
米国で論争を巻き起こしている「現代貨幣理論(MMT、Modern Monetary Theory)」が、最近は日本でも議論になっている。
MMTは、分断が進む米国政治で急進派が財政拡張の論拠としていることや、「政府は無限に借金できる」という極端なレトリックに焦点が当たりがちなこともあり、多くの経済学者、エコノミストから異端の扱いを受けている。
全くの暴論なら、一刀両断に否定されて、そこで議論は終わるはずだが、現実にはそうなっていない。「異論」とは片付けられない何かを突きつけているのである。
筆者は、MMT自体にはやはり問題があると考えるが、昨今のMMT論争が、先進国の金融財政政策の在り方に一石を投じているのは確かだ。
一言で言えば、金融政策がほぼ限界に達したときの財政政策の活用をどう考えるか、という問いである。