遊園地の件を尋ねると
真紀ははぐらかし…

 直子は意を決して、真紀に先日の件を聞いてみた。すると、真紀は、

「え?行っていませんよ。行くわけないじゃないですか!」

 と笑って、直子の勘違いだと言い張った。そう言われると、直子もそれ以上は何も言えなかった。

「絶対にあれは真紀さんと宇佐美さんだったけどな…」

 その後、周囲から真紀について、「何を考えているか分からない」「いない人の前ではその人のことを悪く言うくせに、本人のいる前ではニコニコしている」「嘘をつく」という悪い話が直子にも聞こえてくるようになった。直子も遊園地での目撃以来、真紀に不信感を抱き、距離を置くようになっていた。

右目に眼帯をしている真紀を見て
ケガの原因を探り始める

 ある日、真紀が右目に大きな眼帯をして出勤してきたので、直子は驚いた。直子が事情を尋ねると真紀は、「転んでケガをした」と笑っていた。ところが、眼帯からはみ出ていたアザに気付いた直子は「もしかしたらDVでは…?」と疑った。なぜなら以前、友人が夫からDVを受けていて同じようなケガをしていたことを思い出したからである。

 昼休みに真紀を呼び出すと直子は優しく話しかけた。

「ねぇ、そのケガ、本当は転んだわけじゃないんじゃない?」

 真紀は、黙ってうつむいている。

「よかったら話して」

 心配する直子の優しい声掛けに、真紀は思わず泣き出してしまった。しばらくして気持ちが落ち着くと、「実は…」と話し出した。

 宇佐美からしつこく連絡があるので、「ある日、連絡をしないでほしい」と言ったところ、「家に押しかける!」と脅されてしまった。家族に迷惑がかかると思い、休日に外で話をすることにした。その休日とは偶然、直子が遊園地で2人を見かけた日のことらしい。

 その際に再び断ったにもかかわらず、その後もしつこく連絡がきた。そしてついに昨日、「家の前に来ている。出てこないと大声を出す」と脅されて、仕方なく玄関を出た。その場で再度告白されたが、「付き合うことはできない」と改めて告げると、突然右目のあたりを殴られたという。

 目が腫れてきたので病院へ行ったところ、医師から「DVに該当するので、警察に通報するように…」と言われたが、「世間体が悪いからやめろ」という家族の反対もあって、通報をしていないとのことだった。