ファーウェイ米国の制裁対象となっているファーウェイの重要書類が入った小包を、米物流大手フェデックスが無断で米国に転送したことがばれ、中国政府にとって格好の攻撃材料となっている Photo:123RF

渦中のファーウェイに
借りをつくったフェデックス

 米中貿易戦が激しさを増している。国対国の貿易戦のはずなのに、一番最初に砲火を浴びているのはなんと企業であった。

 華為技術(ファーウェイ)が、まず米国の集中砲火の攻撃に晒されている。しばらく前、チップの供給中止を武器に発動された米国の攻撃に抵抗の術もなく、すぐに降参した中興通信(ZTE)とは違い、ファーウェイは少なくとも慌てるそぶりを見せずに、高い戦意を維持して抵抗している。

 中国政府はファーウェイに対する米国の理不尽と思われる攻撃を、絶対に見て見ぬふりはしないだろうと予想していたが、その反撃の砲火をどこに浴びせるのかは想像できなかった。ファーウェイにコア部品やソフトなどを提供しているグーグル、インテル、クアルコムに対して対抗の制裁措置を講じると、肝心なファーウェイの戦力を弱めてしまう。しかし、米国に対して何の反撃手段も講じずに手をこまねいて傍観していることはできない。中国国民の目もあるからだ。

 そんなとき、米物流大手のフェデックスがファーウェイの重要書類が入った小包を無断で米国に転送したことがばれてしまい、中国政府にとって格好の攻撃材料を提供してくれた。ことのいきさつは次の通りだ。

 しばらく前に、ファーウェイが外国のメディアに提供した荷物追跡記録によると、5月19日と5月20日、ファーウェイが東京から中国本社へ送った2件の荷物は、アメリカのテネシー州のメンフィスへ送られた。

 この他、ファーウェイが5月17日にベトナム・ハノイから発送した2件の荷物も、5月21日に香港とシンガポールのフェデックスの配送センターに到着して、そこで止められてしまい、米国へ転送されようとしていた。本来、この2件の小包はファーウェイの香港とシンガポールにある事務所に送られる予定のものだった。

 ファーウェイの小包がアメリカに転送、または一時保管されたのは、アメリカ本部から小包を一時保管した上で米国へ返送することを指示する通知を受け取ったから、とされた。