つまり、このCMは事故現場の臨場感とその場における大きな安心を見事なまでに伝える構成だったのです。特に現代人の多くは、コミュニケーション下手を過剰なまでに自覚しています。そこに、事故現場での相手とのやりとりという、なおさらの難題が重なった場面を考えさせられれば、このCMが提案している「代わりに話をしてくれるサービス」には心が惹きつけられるのです。

 同様の心理を応用したビジネスの例としては「家賃の値下げ交渉代行サービス」や「不動産の耐震強度査定のセカンドオピニオンサービス」などがあります。不動産の耐震強度査定のセカンドオピニオンサービスとは、他の業者が「補強の必要あり」とした不動産に、あたかも病院で医師の診断に不安を持つ患者さんが、別の病院で再度検査をしてもらう「セカンドオピニオン」の考えのように、もう一度査定をしてもらうサービスです。2度目の査定の結果「補強の必要なし」となった場合、依頼者としては高額な補強工事をしなくてすみ、無理やり補強をさせる詐欺まがいの業者の被害にあうこともありません。

 これらのような、消費者が「言いにくいことを代わりに」式のサービスは、コミュニケーション下手を自覚する現代人の心をつかむサービスの例といえるでしょう。

いま“代行ビジネス”に注文が殺到している理由

 現在、世の中にはさまざまな「代行ビジネス」が存在しています。たとえば、「焼き肉の網のレンタル」ビジネス。焼き肉店の業務の中で、時間のかかる大変な作業が「網洗い」です。網の細い隙間にこびりついた汚れを、閉店後タワシで掃除する作業が嫌で、退職する従業員も多いのです。今日では多くの焼き肉店が網のレンタル業者を利用し、従業員の離職率を下げられるよう工夫しています。

 このように、人手不足の今日、各業種における「面倒な業務」や「時間のかかる作業」をスムーズに代行するビジネスを考え出せば、離職を防ぐ意味合いもあり、ヒットしやすいビジネスになります。