家族の“万が一”を保障する生命保険。ライフネット生命保険は常識を覆す戦略で事業を拡大してきた
生命保険の常識を覆す戦略で事業を拡大してきたライフネット生命保険。そのビジネスモデルの強さと課題とは?(写真はイメージです)

生命保険の常識を覆す戦略で事業を拡大してきたライフネット生命保険。そのビジネスモデルの強みはどこにあるのか。そして、これからの課題とは?企業のビジネスモデルを研究する山田英夫・早稲田大学教授が、ビジネスモデルの見えない部分の成功要因を探った新著『成功企業に潜むビジネスモデルのルール』(ダイヤモンド社、2017年11月発売)の中から、注目すべき一事例として紹介する。

戦後初の独立系生保が誕生
子育て世代の保険料を半額に

 ライフネット生命保険は、戦後初の独立系生保として2008年に開業した、インターネットを主たる募集チャネルとする生命保険会社である。創業時の株主は、マネックス銀行、新生銀行などであり、2012年にマザーズに上場した。

 過去、日本の生保は、営業職員を中心とする人的販売が中心であった。保険の必要性を感じていない消費者に対して、ニードを喚起し、簡単には理解できない保険の仕組みを説明するために、人的プッシュが必要だったからである。

 そもそも生命保険は、提供する保険会社と消費者の間の情報の非対称性が大きく、商品の仕組みや手続きが消費者にはわかりにくいものであった。そこでライフネット生命は、「正直に、わかりやすく、安くて、便利に」という、透明性を前面に出した経営理念を掲げた。

 ライフネット生命は、次の4つを特長としている。

 第1は、ネット中心で自社の営業職員を持たないことから、その人件費分だけ伝統的生保に比べて保険料が安くできる。同社は、「子育て世代の保険料半額」を目指した。たとえば、ライフネット生命の40歳男性の10年の定期死亡保険の保険料は、ある大手生保より約4割安いと言われる。

 第2は、「保険をわかりやすく」というポリシーから、開業時の商品は特約をすべて廃止した。複雑な生保商品の仕組みの中でも、契約者にとって特約は特にわかりにくいものだが、生保会社にとっては収益源でもあると言われる。そのためライフネット生命は、特約を廃止して本体(本契約)だけにし、シンプルでわかりやすい商品に絞ってスタートした。

 第3は、被保険者に万一のことがあった場合、残された人の負担が重い子育て世代をメインターゲットとした。しかし、子育て世代は生活に余裕がなく、多額の保険料は払えない。