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レビュー

『82年生まれ、キム・ジヨン』書影『82年生まれ、キム・ジヨン』  チョ・ナムジュ著、斎藤真理子訳 筑摩書房刊 1500円+税

「社会現象」と呼ばれ、異例の大ヒットとなる作品はときどきある。この小説『82年生まれ、キム・ジヨン』は、まさにそれだ。書店で平積みされているのを見かけた方も多いかもしれないが、日本で、外国文学、とくにアジア圏の文学がこれほど注目を集める事態は類がない。原書が刊行された韓国では100万部の売れ行きを突破した(ちなみに、韓国の全人口はおよそ5千万人だ)。本作は世界17ヵ国・地域での翻訳出版も決定し、韓国では映画化されるという。

 これほど支持を集める理由は、本を開けば明らかである。女として生まれ落ちたキム・ジヨン氏は、一見、それなりに幸せな人生を歩んでいるように見える。けれどそこには、ふつうの日常にうずもれた、小さな理不尽がたくさんある。女性であるということだけを理由にした理不尽が。読者は自分の体験や、言葉にならなかった気持ちを思い出し、怒りに心をざわつかせながら読み進めずにいられなくなる。