26歳で仕事があっても保護受給開始
妹は私立医大に通うも親は扶養を拒否

「あのタレントの母親がOKなら、俺も“ナマポ”(生活保護のネットスラング)をもらう資格があるはずだ!!」

 お笑いタレントの母親の生活保護受給が発覚して以降、厚生労働省や各自治体には連日、受給資格の問い合わせや苦情が寄せられている。インターネット上では、生活保護の集団申請を呼びかけるオフ会(ネット上で知り合った者同士が、現実社会で実際に会うこと)の開催情報まで出回る始末。

「仕事にならない。制度の底が抜けた」──。

 ある都内の自治体担当者は、冷笑を浮かべる。天を仰いでいるのは、行政だけではない。「ナマポ、ナマポって何だよ!!」と相次ぐ苦情電話にいら立つのは、渦中のタレントを起用したテレビ番組のスポンサー企業の幹部だ。

 東京都の生活保護の担当者はもはや諦め顔。「集計中だが、お笑いタレントの問題を受けて、申請件数が急増している。せっかくピークは過ぎたと思っていたのだが……」。

 5月末に生活保護申請が認められ、今月から「本格的に生活保護生活を始めた」という東京23区内に住む26歳の木村明彦さん(仮名)も新たな受給者の1人だ。

 生活保護を申請した際、福祉事務所から、扶養の可否を問われた父親は、これを拒否。

「俺は関わりたくないから、勝手にしろ」──。

 木村さんに電話をかけてきて、こう言い放ったという。

 木村さんの両親は1昨年に定年退職。しかし、元地方公務員だけに年金支給額は、民間のそれを大きく上回る。しかも、木村さんの妹は、都内の私立医大に通う現役医大生だ。私立医学部で卒業までに必要な金は学費だけでも、平均で約3000万円。さらに、妹が個人的な事情でつくった400万円以上の借金も、すべて両親が立て替えたという。