小泉政権時代の「100年安心」は
なぜミスリードされたのか?

 この政策のベースになったのは、自民党と連立政権を組んだ公明党の「年金100年安心プラン」だ。その概要について、同党の池添義春議員のホームページでは、このように説明している。

1.保険料は18.3%を上限に2017年まで段階的に引き上げ、それ以上保険料が上らないようにした
2.もらえる年金はモデル世帯で現役世代の手取り収入の50%を確保

 どこにも「年金だけで死ぬまで生活できますよ」、などとは書かれていないのだ。しかし、この「100年」という言葉が、世の中に「年金だけもらっていれば100年生きていける」かのような誤解を与えてしまうのだ。

 その象徴的なやりとりが、2004年の参議院の議事録に残っている。今回の「老後2000万不足」でも安倍首相を厳しく追及する共産党の小池晃議員が、小泉純一郎首相(当時)にも、公的年金だけでは生きていけない、と詰め寄ったところ、小泉氏はこのように述べた。

「公的年金だけで全部生活費をみるということとは違うと思うんですね。大きな柱の一つになってきているというのは事実でありますが、そのほかに日ごろの備えをしていかなきゃならないという点もあるでしょう」(参議院決算委員会 平成16年05月31日)

 もちろん、これを小池氏は厳しく批判するのだが、そこで興味深いことをおっしゃっている。

「公的年金だけで生きていけないというのであれば、百年安心の年金制度などという看板はでたらめじゃないですか」(同上)

 さらに、この小池氏の反論を受けて、小泉氏はこう述べている。

「公的年金ですべて生活できる人も一部にはいるでしょう。しかし、公的年金以外に自分の蓄えているものもあるでしょう。そして、なおかつ生活保護制度というのもあります。いろいろな組み合わせです」(同上)

 お分かりだろうか。小泉氏は、公的年金が老後資金の柱の一つになってきていることが「百年安心」という認識だが、小池氏は、公的年金だけで生活ができることが「百年安心」だと考えているので、まったく話が噛み合っていないのだ。