景気判断の分かれ目である50は上回っているものの、図に見るように、50台後半を維持していた2018年半ばと比べて、明らかに水準を落としている。5月のISM非製造業景況指数も56.9と前月より改善したが、年明け以降は50台後半で推移しており、60前後だった昨年後半より勢いが鈍っていることは否めない。

 米国の景気動向を見る上で重要視される雇用統計の非農業部門雇用者数の増減は、実は景気に対して遅行する指標だ。その非農業部門雇用者数の増減は、図のように今年は1月がピークとなっている。米国経済が減速局面に入っていることは確実だ。

 トランプ米大統領は、6月28、29日に大阪で開催される20カ国国・地域(G20)首脳会議の場で、習近平中国国家主席と会談できなければ、中国からのこれまで25%の関税をかけていない残りの輸入品全て(約3000億ドル)に25%の関税をかける姿勢を見せている。

 IMF(国際通貨基金)は、5月に発表された米中の関税引き上げと今後予想される関税引き上げでGDP(国内総生産)成長率が米国は19年に0.1%、20年に0.2%、中国は19年に0.6%、20年に1.0%押し下げられると試算している。