市場は、少なくとも年内2回の利下げを織り込んでいる。下表を見てほしい。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)は、FedWatchという数値を公表している。

 FOMCの日程ごとの、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの水準別の確率を、FFレート先物の推移から算出している。表は6月11日時点のものだ。

 年内最後の12月のFOMCでの水準別の確率を見ると、現状の2.25~2.50%より2段階低い1.75~2.00%が36.6%と最も高い。1.75~2.00%より低い水準の確率も合わせると79.4%。ほぼ年内に2回の利下げを見込んでいるといえる。

 6月19日のFOMCでの利下げは見込んでいないが、7月31日のFOMCでの確率を見ると、2.00~2.25%以下が78.7%であり、1回目の利下げが予測されている。1ヵ月前の同確率は10.0%だったから、急速に利下げ観測が高まっているわけだ。

 景気後退とまではいかないものの、利下げが視野に入るほどに米国経済の減速感は強まっている。トランプ減税の効果はほぼ剥落した上に、昨年7月に始まった米中の相互関税引き上げが景気に影を落としている。

 景気動向に対する先行指標とされるISM(米供給管理協会)製造業景況指数は、5月に52.1と前月比0.7ポイント低下し、2年7ヵ月ぶりの低水準となった。