トレンドは「バカCM」
民放連の考査で売らんかな全開に

 中川氏は、近年のテレビCMの傾向を次のように語る。

「最近は特にバカCMが多くなった印象です。バカCMとは、『バカに対しては事細かに説明しなきゃ伝わらない』というスタンスから、“文字文字しい”テロップなどを出して商品説明に終始するCMのこと。生命保険や自動車保険のCMに多い印象ですが、これじゃまるでパンフレットを読んでいるのと変わらないですよね」

 こういったCMが増えた背景には、若者のテレビ離れなどの理由による広告費の単価の下落が関係しているという。テレビCMの広告単価はGRP(延べ視聴率)という単位によって決まる。各局によっても異なるが、視聴率1%(毎分)の番組にテレビCMを1本流せば1GRPとなり、企業は広告代理店から100GRPを1000万円などで購入したりするという仕組みだ。

「昔ならば平均視聴率が15%ぐらいあったのが、今では8%とかに激減し、CM出稿費の単価も下がっています。そうなると、中小規模の企業までもが参入可能となり、売らんかなの精神で“必死”なCMを作ろうとし、文化を作ろうなどといった気概もなく、結果的に“ダサい” CMが生まれてしまうわけです」

 また、CM考査の基準が変わったことも、その動きに拍車をかけているという。CM考査とは、CMで紹介するサービスの内容や表現が日本民間放送連盟(民放連)の放送基準に抵触していないかをチェックする制度のことだ。

「昔の考査では、たとえば『○○ドリンク りんご味』という商品を紹介するCMがあった場合、最後に『オレンジ味も出たよ!』みたいに追加情報の宣伝をするのはNG。また、消費者金融などのCMも禁止でした。しかし、バブル崩壊後にCM出稿の数が減ったため、各局は考査の基準を緩めたのです」

 こうした事情によって、企業は販促ツールとしてテレビCMを使うようになり、表現もより“露骨”になったというわけだ。