CMといえば15~30秒が一般的、という常識が崩れ始めてきた。YouTubeなどで流れる動画広告では2~3分という長尺のものが増えており、すぐにスキップされるのかと思いきや、最後まで見ている人も多いという。そこで、増加する長尺動画広告の理由と、5G到来による影響などをYouTubeビジネスに詳しい「カティサーク」の押切孝雄氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
YouTubeは2分台へ
伸びる動画広告の再生時間
今やインターネット広告は1.7兆円市場。なかでも動画広告の市場規模は伸び続けており、2018年は前年比40%増の1612億円と予測されていた(2018年3月電通などが発表)。サイバーエージェントなどの調査によれば、2024年には4957億円にまで膨らむ見通しだという。
そんな成長著しい動画広告だが、近年は長尺化が顕著になっている。これはGoogleが調査分析データを提供しているサイト「Think With Google」が発表する「Japan YouTube Ads Leaderboard」のランキングからも分かる。
「Japan YouTube Ads Leaderboard」とはYouTubeで公開された動画広告のなかで、最も再生回数が多かったものを表彰するランキングのこと。そのなかで2017年下半期のトップ10の広告の再生時間の平均は「1分46秒」だったが、2018年上半期は「2分53秒」と、1年間で約1分も伸びているのだ。
実際に、昨年話題となった動画広告の再生時間を見てみよう。東亞合成による瞬間接着剤「アロンアルファ」をテーマにしたCMは、第1弾が1分59秒で再生回数は1000万回以上。第2弾は2分57秒で再生回数790万回以上。また中小企業基盤整備機構(中小機構)のCM「今日、部下が会社を辞める。」は3分で、再生回数は155万回以上となっている。