マツダによる高齢ドライバー体験の様子。専用のアイマスクで視野を狭め、サポーターで膝や肘の動きを抑え、重りを入れた靴を履く。マツダ関係者が筆者を撮影
マツダによる高齢ドライバー体験の様子。専用のアイマスクで視野を狭め、サポーターで膝や肘の動きを抑え、重りを入れたベストと靴を着用。マツダ関係者が筆者を撮影 

日経報道で一気に情報拡散
高齢者運転免許の議論が本格化

 日本経済新聞は2019年6月11日、朝刊1面トップで「高齢者向け新免許創設 メーカーは安全機能の開発競う」と報じた。政府が今夏に公開する成長戦略の中に盛り込まれることが分かったという内容だ。

 これを受けて、テレビのニュース番組や情報番組で一斉に高齢者免許に関する特集を組んだ。背景には、全国各地で相次いで発生する高齢ドライバーによる重大事故への、国民から政府へ早期の対策を求める声がある。

 筆者はこれまで、本連載を含めて各種メディアを通じて高齢ドライバーの運転について紹介し、2017年3月の道路交通法一部改正で運転免許の更新での高齢者講習が大幅改定されたことなどを詳しくまとめた『100歳までクルマを運転する』(洋泉社)を上梓している。

 安全技術では自動車メーカーや自動車部品メーカー、また交通や自動車の施策については警察庁・国土交通省・経済産業省など中央官庁へ取材や意見交換を行ってきた。

 さらに、地域社会における高齢ドライバーのあり方や免許返納後の移動のあり方について、政策アドバイザーである福井県永平寺町エボルューション大使としてさまざまな会議体で議論を重ねてきた。

 そうした経験から、今回実施の方向へ大きく動いたとみられる、高齢者向けの運転免許について私見を述べたい。

テレビ局から各種質問
「なぜ、クルマ限定?」「なぜ、選択制?」

 まず、今回の報道を受けて在京テレビ各局から電話やメールで筆者に問い合わせがあった中で多かった質問が2つある。