【表1】のような具体例が挙げられるが、果たしてIPOをすべきか事業売却をすべきかを、これで意思決定できるであろうか。

【表1】をよく見ると、IPOと会社売却が同じ評価基準で比較されていないことがわかる。言い換えれば、結婚相手として、「背が高いがお金がないA君」と、「頭が良いが性格が暗いB君」の選択をしようとしているようなものである。結婚相手の例ならば、評価基準が違うことがすぐにわかるが、【表1】のような表が示されると、なかなかそれが見抜けない。

 逆にいえば、PROS/CONS分析は、同じ評価基準で複数の案を評価できないときに、上長を説得する道具としてはとても便利な方法と言える。対比表は、「難しい事柄が整理されて見える」という効用をもっているからである。

(3)PPM

 複数の事業を持つ企業が、今後どの事業に投資していくかを判断するために、一世を風靡した方法論が「PPM」(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)である。成熟期にありシェアの高い事業が、競合企業よりも現金流入が大きくなることに着目して組み立てられた理論であるが、果たして「客観的なPPM」はあり得るのだろうか。

 第1に、円で表す事業の単位をどのように括るかで、PPMの図は大きく変わってくる。たとえば伸び率の低い一眼レフカメラと、伸び率の高いミラーレスカメラを別々の円で描けば、一眼レフは「金の成る木」か「負け犬」、ミラーレスは「花形」か「問題児」に位置づけられる。