水平、垂直方向に発展した各路線のホームを、駅ビルや地下街を介して接続した、まるで迷路のような構造だった渋谷駅が今、大きく変わろうとしている。東京メトロ銀座線やJR埼京線・湘南新宿ラインのホーム移設工事が完了すれば、利用者泣かせだった駅は一変するだろう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
ホーム移設工事が大詰め
完成すれば利便性は大きく向上
東京メトロは12日、2019年12月28日から2020年1月2日まで年末年始の6日間にかけて、銀座線の一部区間を運休して渋谷駅移設工事を実施すると発表した。
1938年に開業した銀座線渋谷駅は、東急百貨店東横店西館3階の中に設置されているため、ホームが狭く、バリアフリー設備も不十分であった。そこで駅を約130メートル東側に移設、明治通りを跨ぐ形でホームを設置し、渋谷ヒカリエとも接続される。ホームは幅7メートルの相対式(線路の両隣にホームがある形)から12メートルの島式(ホームの両隣を線路が走る形)に作り直し、ホームドアを設置することで、安全性と利便性を向上させようという取り組みだ。
2009年1月に始まった工事は、2016年11月と2018年5月に実施した線路移設工事によって、ようやく新ホームを設置する準備が完了した。今年2月から新ホームを覆うM字型の屋根の設置が始まり、屋根の下ではホーム築造が着々と進んでいる。
当初の計画では、新ホームは二段階の工事を経て完成する予定だったが、6日間の運休という異例の措置を取ることによって、予定よりも早く、一気に完成形までもっていくことになったようだ。新ホーム完成後は、旧ホームの撤去と、渋谷マークシティ内の車庫に続く線路の架け替えに着手するため、全ての工事が完了するには、まだ相当の時間を要する見込みだ。
JR渋谷駅でもホーム移設工事が進んでいる。山手線ホームから遠く離れた埼京線・湘南新宿ラインホームを北に350メートル移設して、山手線ホームと横並びにする計画だ。昨年5月の線路移設工事で確保したスペースに新ホームの設置が始まっており、その一部は既に埼京線・湘南新宿ラインの乗り換え通路として使用されている。新ホームは来年春に使用開始の予定で、渋谷駅の乗り換え利便性は劇的に向上することになる。