「働き方改革」が喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー 「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。

「仕事に追われる」状況を変える

 どうすれば、職場の「働き方改革」を成功させることができるか? あるメーカーの研究開発チームのエピソードをもとに考えてみたいと思います。

 そのチームは、長時間労働が常態化しているうえに、どんどんやることが増えていて、「いったい何に追われているのか?」すらわからないような深刻な状況に陥っていました。常に仕事に追われている状況をなんとかしたいということで、私たちにコンサルティングの依頼をいただいたのです。

 彼らは、「研究開発」という本来の業務に多くの時間を割くために、それ以外の仕事の効率を図るなど、熱心に「働き方改革」に取り組みました。

 なかでも効果的だったのが「勉強会」です。以前は、「一業務ひとり担当制」だったため、個々のメンバーが「タコつぼ化」して、お互いにサポートし合うのが難しい状況にあったのですが、「勉強会」を通して、お互いの業務内容や専門知識を共有するようになったことで、徐々に「一業務複数担当制」に移行することに成功したのです。

 その結果、労働時間が減り始めただけではなく、「自分ひとりでやらなければならない」というプレッシャーからも少しずつ解放されていきました。安心して休暇が取れるようになり、疲弊していたチームに少しずつ活気が戻っていったのです。

 とはいえ、まだまだ仕事に追われる状況は続いていました。
 そこで、チーム全体の「働き方」の記録を詳細に分析した結果、日々の業務のなかに、始業時点で予定していなかった「割り込み仕事」が大量にあることが判明。その大半が、営業スタッフからの問い合わせであることがわかりました。訪問先で技術的・専門的な質問をされた営業スタッフが、研究開発チームに問い合わせるのですが、これに、実に多くの時間が取られていたのです。

 本来の業務フローでは、このような問い合わせは、営業スタッフをたばねる営業管理部が対応することになっていましたが、専門的な知識をもたない営業管理部を“中抜き”して、直接、開発チームに問い合わせる営業スタッフが続出。それに誠実に対応しようとしたがために、このような状況が常態化してしまったのです。