2019年4月に罰則つき残業規制がスタートすることもあり、「働き方改革」は喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー 「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。
“割り込み仕事”を減らす方法
「働き方改革」を進めるうえで、多くの職場で問題になるのが「割り込み仕事」です。
予定していたスケジュールどおりに仕事が進められない原因を探ると、取引先や他部署からの業務依頼や、他のメンバーからの急な相談などの「割り込み仕事」に振り回されている現状が見えてくるのです。
もちろん、こうした「割り込み仕事」が舞い込んでくるのはやむをえないことですが、それに振り回されている状況は改善する必要があります。そこで、考えうる「解決策」をまとめたのが【下図】です。
なかでも即効性があるのが、「集中タイム」です。
毎朝、一日のスケジュールをメールなどでメンバーに共有するときに、各自が優先度の高い仕事を行う時間帯を「集中タイム」に設定して、その時間は、他のメンバーが一切声をかけないようにするのです。相談事などをもちかけないのはもちろん、取引先や他部署からの連絡も取り継ぎません。これが徹底できれば、「割り込み仕事」をゼロにする効果があるのです。
あるいは、【下図】のように、グーグルカレンダーなどで、一週間の「集中タイム」を明示するのも効果的です。特に、この方法はプレイングマネジャーにおすすめです。一週間単位で「集中タイム」を明示すれば、メンバーは、それ以外の時間にマネジャーとのミーティングのアポイントを入れることができるからです。
重要なのは、「集中タイム」のルールをメンバーで共有しておくことです。
まず、他のメンバーに「いつが集中タイムなのか?」を明示するルールを決めます。毎朝、メンバー全員が一日のスケジュールを共有するようにし、そこに「集中タイム」を明記するようにすればいいでしょう。あるいは、「〇時~〇時まで集中タイム」と明示した紙を、各自のデスクの目立つところに貼り出してもいいでしょう。
また、「集中タイム」の間は、場所を移動していいというルールにするのも効果的です。会議室や社外のスペースなどに移動して、自席から物理的に離れることで、より仕事に集中することができるからです。社内規定で可能であれば、自宅勤務で「集中タイム」を使うことを認めてもいいでしょう。
ただし、ずっと「集中タイム」をとって、ほとんど職場に現れないといった弊害を生み出さないためにも、「集中タイムは一週間にひとり◯時間まで」といったルールを決めておくことも必要です。
忘れてはならないのは、「例外」を共有しておくことです。
「集中タイム」は、取引先や他部署から連絡が入っても取り継がないのがルールですが、緊急対応が必要な案件まで取り継がないと、大きなトラブルを起こしかねません。そこで、「この取引先からの連絡はすぐに取り継いでください」「この案件については至急連絡ください」といった例外をメンバーに伝えておくのです。
「集中タイム」に入る直前に、グループのメッセンジャーやメーリングリストでメンバーに例外を伝える―といったルールを決めておけば、重要な連絡が放置されるような事態をふせぐことができるでしょう。