患者にとって非常にありがたい制度だが、多くの人が等しく制度を利用できるようにするために、運用にはルールが設けられており、原則的に「(1)1人の患者が、(2)1つの医療機関で、(3)1ヵ月」に使った医療費をもとに計算することになっている。

 このなかで、A子さんとB子さんの医療費に差をもたらしたのが、(3)の「1ヵ月」というルールだ。

 1ヵ月と聞くと、「30日間」と思うかもしれないが、この1ヵ月は歴月単位という意味で、その月の1日から末日までの医療費を計算することになっている。そのため、入院期間が月をまたいだ場合は、各月の1日から末日までの医療費が別々に計算されるのだ。

 2人の入院日数は同じ20日間だったが、A子さんが入院したのは5月10日~5月29日まで。一方、B子さんの入院期間は、5月20日~6月8日までと月をまたいでいる。そのため、A子さんは、かかった医療費がまとめて計算されるが、B子さんは5月分と6月分の高額療養費を別々に計算することになり、次のように医療費に差が出ることになったのだ。

◆入院が「歴月範囲内or月をまたぐか」によって変わる医療費

【試算条件】
・年齢:73歳
・かかった医療費の総額:200万円で
・入院期間: 20日間
・高額療養費の所得区分:現役並みI

●入院期間が5月10日~5月29日までのA子さんの自己負担額
・5月10~5月29日までの高額療養費
8万100円+(200万円-26万7000円)×1%=9万7430円

⇒9万7430円

●入院期間が5月20日~6月8日までのB子さんの自己負担額
・5月20~5月31日までの高額療養費
8万100円+(150万円-26万7000円)×1%=9万2430円
・6月1日~6月8日までの高額療養費
8万100円+(50万円-26万7000円)×1%=8万2430円

⇒5月分の9万2430円+6月分の8万2430円=17万4860円

 A子さんとB子さんの医療費の自己負担額の差は7万7430円に!