世界の貧富の格差を是正するには?

 ピケティによれば、従来、格差問題は、経済成長によって解決すると思われていましたがそうではありません。経済成長を期待して、資本主義を放置すれば、ますます格差が拡大するというのです。

 私たちは、会社に就職して給料を得るのが普通です。特に働いているときにまず目指す目標は「高収入」でしょう。働くことによって、収益を増やす。そうすれば、生活は豊かになる。これが従来の考え方でした。

 しかし、時代は変わってきたようです。ピケティによると、長期的にみれば、「資本収益率(r)は経済成長率(g)よりも大きい」とされます。

 極論すれば、いくら働いて高収入を得ても、土地や株などに投資して不労所得を得るほうが、断然儲かるというわけです(高収入でも消費してしまったらダメ……)。

 資本から得られる収益率が経済成長率を上回れば上回るほど、それだけ富は資本家へ蓄積されます(資本を持つ人は、経済が成長するよりも迅速に、自分の資本を増やすことができる!)

 世の中は大雑把に分けると、資産家とその他になります。資本を持っていれば勝ちで、なければ負け(諸説あり)。実際に、富が公平に再分配されないことによって、貧困が社会や経済の不安定を引き起こしているわけです。

 金持ちは様々な金融商品に投資し、有利な資産運用ができます。インフレ対策として、資産を土地、株、貴金属などに分散投資することもできるのです。金持ちはますます金持ちになり、貧乏人はますます貧乏になる。こんな世の中は不公平では?!

 では、ピケティは身を粉にして働くことをやめて、不動産投資や株投資をしろといっているのでしょうか。そうではありません。この世界の貧富の格差を是正するために、「累進課税の富裕税」を、世界的に導入し、資産の再分配をすることを提案しているのです。政府が庶民をなんとかサポートしてくれることを期待するしかありません。

人生で役に立つこと
ピケティの格差是正の方法は、累進課税の所得税をより強めよということ。この書の主張の逆張りをして、株や不動産やビットコインなどへの投資を勧めているわけではありません。