世界的に多大な影響を与え、数千年に渡って今なお読み継がれている古典的名著たち。そこには、現代の悩みや疑問にも通ずる、普遍的な答えが記されています。しかし、そのような本はとんでもなく難解で、一冊しっかりと理解するには何年もかかるものもあります。本連載では『読破できない難解な本がわかる本』(富増章成著)から、それらの難解な名著のエッセンスを極めてわかりやすくお伝えしていきます。(イラスト:大野文彰)

どうしたら幸福になれるのか?

 一般に、三大幸福論と呼ばれる幸福についての本があります。ヒルティの『幸福論』(1891年)、アランの『幸福論』(1925年)、ラッセルの『幸福論』(1930年)です。ここではアランの『幸福論』をご紹介します。

 アラン(本名:エミール=オーギュスト・シャルティエ)はパリの学校で教鞭をとるかたわら、プロポ(哲学断章)と呼ばれる、短い断章から織りなされる文章を書きました。この本の全体を一言でまとめるなら、「幸福になろうとしないと幸福にはなれない。そしてそれは心と体の使い方で決まる」ということです。

 アランによると、「気分というものはいつも悪いもの」なのです。これといって不幸な出来事に出会っているわけでもないのに、不幸な気分の人がいます。それは、人間が本来、自然にまかせていると不幸になってしまう存在であるからなのです。

 だから、幸福になるには「幸福になるぞ!」という意志をもって自分をコントロールする必要があります。幸福になるにもけっこうな努力が必要なのです。

 ただ、アランの『幸福論』には、感情や情念に振り回されないようにする様々なノウハウが豊富です。この書に書かれていることを実践するだけで、本当に効果が出るわけです。「自分でお天気や嵐を作り出すのだ。まず自分の中に」(同書)

 心が嵐になるときは、自分自身が天候を変化させています。また、ぐちを言ってはいけないそうです。これは難しいですね。