一転、歩み寄り
双方の候補者が要職に就く

「株主総会の決議結果を素直に取るなら、瀬戸さんがCEOとして支持されたと解釈すべきだ。ただし、会社側からも6人が選任されたということは、株主には、社外の目で瀬戸さんの経営を監督してほしいという意思がある」(会社提案の候補者である松﨑正年・コニカミノルタ取締役会議長)

 これまで、お互いが提案する取締役候補の妥当性を巡って散々ののしり合ってきた会社側と株主側は、株主総会の決議結果が出た途端に歩み寄りに動いた形だ。

 株主提案の方が支持を多く集めたことから、LIXILグループの新社長兼CEOの座は瀬戸氏が手にした。それでも、取締役会議長には会社側候補の松﨑氏が就任。加えて、LIXILグループの副社長と中核事業会社であるLIXILの社長兼CEO兼取締役会議長の兼務職にも、会社側の候補だった大坪一彦氏が納まった。

 “大人のたすき掛け人事”が行われたことで、長らく続いた大騒動は、ようやく収束に向かう。今後は、潮田氏の影響力を排除した「忖度のない世界」(瀬戸氏)で、是々非々の経営判断をしていくことになる。

 具体的にはまず、潮田氏の肝いりで買収し、2019年3月期の巨額赤字の主因となったイタリアの建材子会社、ペルマスティリーザの売却だ。

 ペルマについては一度売却を決めるも、対米外国投資委員会(CFIUS)の承認が下りず、潮田氏の下で自社内での再建が検討されてきた。しかし瀬戸氏は、「ペルマの事業はLIXILの事業と必ずしも相性がいいわけではない」と語っており、価格次第では再度売却に動く可能性も高い。

 また、トステムの事業を源流とし、これまでコンスタントに設備投資を行ってきたサッシ事業は、既存の設備の改良といった生産改革重視の路線に戦略の方向を転換する方針だ。

 今回の騒動で社内には亀裂が生じた。そんなLIXILグループを見限り、会社を去った従業員も当然いる。新体制は、この8ヵ月で失ったものを取り返し、会社を成長軌道に乗せられるか。LIXILグループに与えられた時間は、そう多くない。