日本はセックスレス傾向だといわれるが他国も同じらしい。
英国の医学誌「BMJ」に掲載されたレポートによると、2000年以降、英国民のセックス頻度は著しく低下。特に既婚者や同棲中のカップルで顕著だという。
英国で定期的に行われている性生活とライフスタイルに関する大規模調査「Natsal(National Surveys of Sexual Attitudes and Lifestyles)」の1991年(N1)、01年(N2)、12年(N3)の3回分のデータを比較したもので、分析対象は16~44歳の男女およそ3万5000人。
この結果、過去1カ月間の平均セックス回数は、女性ではN1、N2調査時の4回から、N3調査時の3回へ減少。男性は一貫して3回だった。
過去1カ月間で一度もセックスをしていないとの回答は、女性が28.5%(N1)から23.0%(N2)へ、男性は同30.9%から26.0%へ低下したが、最新のN3では女性が29.3%、男性が29.2%へ増加。3人に1人が過去1カ月の間にセックスをしていないという結果だった。
逆に、1カ月に10回以上と回答した割合は、N2調査時では男女ともおよそ2割だったが、N3調査時は女性13.2%、男性14.4%に低下。90年代の水準も下回っていることが示された。詳しく解析すると、最もセックス回数が減少したのは25歳以上の既婚あるいは同棲カップルだった。
20代後半~40代の子育てと親の介護の板挟みになる「サンドイッチ世代」は、生活に追われパートナーと向き合う余裕がない。生物として性行動が活発な年齢なのだが、経済状況が許さないのだろう。実際、頻繁にセックスをする集団は「心身の健康状態が良好」のほか、「正社員」「高収入」などの特徴が認められた。
この春、日本の18~39歳男女の4人に1人が性交渉の経験がないという調査結果が話題になったが、その際も「非正規雇用」や「経済状況の不安定さ」が影響因子として挙げられていた。
「産めよ、殖やせよ」という前に考えるべきことがありそうだ。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)