2つの思い、「憤り」と「怒り」
・どんな小さな企業でも、もっと高く、もっと幸せな形で売れるのに(憤り)
・弱い立場につけ入る悪徳業者から、中小企業を守りたい(怒り)
現在のM&Aは、売り手企業にとっても買い手企業にとっても、はたして心から納得できる結果を与えられているでしょうか。関係したすべての人と企業が、満足できる取り組みになっているでしょうか。
本当に「幸福なM&A」が行われているのでしょうか。
そう尋ねられたとき、多くの「不幸なM&A」を見てきた私は、必ずしも首を縦に振ることができません。それをどうにかして改善したいと思ったのが、書籍『あなたの会社は高く売れます』を執筆した動機の一つです。
赤字でも債務超過でも小さすぎても、
売れます!
いくら売り手市場といっても、中小企業の経営者からは不安の声が上がります。
「赤字だけれど、会社は売れるのか」
「地方にある何の特徴もない小さな会社だが、会社売却なんてできるのか」
「売上は減少傾向で先行きも暗いが、興味を持つ会社はあるのだろうか」
「債務超過でも、売れるのだろうか」
「管理部門に人を回す余裕がなく、正直、会社の体制は甘いが、大丈夫だろうか」
「会社売却と同時に、銀行の個人保証や自宅の担保提供を外したいのだが……」
いずれも答えは「YES」、大丈夫です。
会社が続いているということは
存在意義があるということ
私は20年近く中小企業に特化したM&Aに携わってきました。
沖縄から北海道まで、社員1名・売上ゼロの会社から債務超過数億円の会社に至るまで、数多くの企業のM&Aを成立させた経験から、断言できることがあります。
目まぐるしく変化する市場の中で、中小企業が生き延びることは並大抵のことではありません。
今日まで会社を存続させることができたということは、あなたの会社に何らかの存在意義があるという証明にほかなりません。たとえ零細企業だったとしても、小さいなりに何かしらの強みがあるはずなのです。
存続できる理由と「自社の強み」を経営者と一緒になって探し出し共有し、その価値を最大限に評価する相手を見つけ出して、彼らに会社の魅力を正しくしっかりと伝えること。このことが「会社を売る」ときに、何より大切だと考えています。
その結果、予想の何倍にもなる評価を買い手企業から得ることも稀ではありません。
詳しいことはこの連載でお伝えしていきますが、赤字でも、債務超過でも、これ以上小さい会社はないというくらい小さい会社でも、やり方次第で、高く売ることができるのです。
※次回は一生に一度の会社売却で、失敗や後悔をしないためにすべきことについてお伝えします(7月9日公開予定)。