自国では学校の先生。でもシンガポールでは街の清掃員
シンガポールは、物事をいかに合理的に進めるかをつねに考えている国でもあります。「メイド制度」を例に考えてみましょう。
シンガポールでは共働きは当たり前で、家事はメイドを雇って彼女たちにやってもらいます。メイドを雇うなどというと日本人には抵抗感があるかもしれませんが、シンガポールでは、休日になればメイドに連れられた子供たちがデパートの中で遊んでいる光景をよく目にします。
また、シンガポールでは街の清潔さを保つため頻繁に清掃が行われています。その中心はバングラデシュ人。彼らは、自国では学校の先生など非常に優秀で勤勉な人たちなのですが、ひとたびシンガポールに移住してくれば、そこでは集合住宅に住み、街の清掃、道路工事などを低賃金で行っているのです。
このように、シンガポールは物事を合理的に考える傾向が強い社会であり、「生きていくうえでは割り切りも必要」という認識が浸透しています。グローバル化が浸透すると、こうした分業はますます進んでいきます。そうなれば、付加価値のない仕事についてしまったが最後、一生そこから這い上がれない人生を歩むことになってしまいます。
幸い、シンガポールは人口も限られ、そのような仕事を外国人に任せること事で国民の不満を散らしています。しかし、グローバル社会が進行すればするほど、付加価値のない仕事をする人とそうでない人の差は開いていきます。