生活困窮者支援の世界の潮流は
「ハウジング・ファースト」に

「ハウジング・ファースト」のコンセプトは「まず、人権としての住まいを」ということだ。路上生活者、精神科病院から退院してきた精神障害者など、生活に多様な支援を必要とする人々に、まず地域の通常の賃貸アパートでの安定した居住を提供し、必要ならそこで人的支援を行う。

「まずは施設からステップアップして」という方法は、本人にとっては挫折と失敗とダメージの繰り返しとなりがちである上に、支援に必要な費用や人員も多く、費用対効果という面からも問題が大きい。「ハウジング・ファースト」は、世界各地でこの問題を解決してきた。

 ところが、厚労省の今回の省令案では、「ハウジング・ファースト」型の支援事業は、地域移行を支援する前提の個室シェルターを含め、「住居貸付(又は施設利用)とあわせて、その他のサービスを提供」するものとして、無料低額宿泊事業となってしまうのだ。

 では、そういう活動をしている事業者は、今後は「無料低額宿泊事業者」となればよいのだろうか。そうはいかないのだ。

 今回の省令案のもう1つの問題点は、無料低額宿泊事業に該当する場合に、入所者の「管理」が求められることだ。具体的には、「無料低額宿泊所は、原則として1日に1回以上、入居者に対し居室への訪問等の方法による状況把握を行わなければならない」(第20条)とある。

 入所者にとっては、外出していて部屋にいないことや、ちょっと外泊してくることが、「やりにくく」なるということだ。大人が寮生活の中高生と同じように管理されることは、それだけで問題だろう。しかし、責任者が「管理したい」と考えていなくても、この省令案の「無料低額宿泊事業」に該当するのであれば、管理しなくてはならなくなる。