大量退職で上司や同僚が
次々に辞めてしまったら…
少し前のことですが大規模な地震が発生した際、上司に「何が何でも出社せよ」と命令された新卒社員が反発し、複数人の連名で退職届を出したという話がSNSで話題になりました。この話の真偽は定かではありませんが、企業では「大量退職」が発生することがあります。業界やネットのうわさになるだけでなく、商品やサービスのリリースが不自然に遅れたために報道されたり、経理社員が集団で退職したため決算を延期せざるを得なくなったりすることで事実だと判明することも…。
大量に退職者が出るのは多くの場合、業績の悪化をはじめとして社内で何らかの問題が発生しているからです。経営者の交代によって会社の方針が変更され、不満を持った社員が集団的に辞めていくというのもよく聞く話です。
自分の周りでどんどん退職者が出れば、残された人が不安になるのは当然でしょう。さらに、辞めた人がエース級の社員や親しい上司、同期だとますます不安は募り、職場では辞めるムードが支配的になっていく――。大量退職が発生する職場では、このような形で退職者が連鎖的に増えていきます。
ただし、「みんなが辞めていくから」というだけの理由で退職するのは、まったくお勧めできません。
もし何らかの事態が発生して会社が変わらざるを得なくなったことで大量退職が発生しているのであれば、まず変わろうとしている会社の姿に自分が共感できるかどうかを考えてみるべきです。もし共感できるなら、残ったほうがよい場合もあります。
なぜなら大量に離脱者が出ることによって、今までやれなかったレベルの仕事を任されたり、重要なポジションに就けたりする機会が増えるからです。要はチャンスの順番が早く回ってくるということで、個人のキャリアとして考えてみると大量退職は決して悪いことばかりではないのです。
もちろん自分自身が会社の将来に希望が持てなかったり、経営者が信用できなかったりするのであれば、腹をくくって転職したほうがよいでしょう。大事なことは大量退職という周囲の動きに右往左往するのではなく、会社の現状を整理した上で、残留にせよ転職にせよ主体的に自分のキャリアを考え判断することです。