コンビニ創業の成功体験に自信
IT人材が払底

 セブンの今回の失態は、長くこだわってきた「自前主義」が、専門外のITの世界で通用しなかったことが大きい。

 なぜ、セブンはそこまで自前主義にこだわるのか。総合スーパーのイトーヨーカ堂などを擁するグループ内で圧倒的な力を持つのは、国内コンビニを展開するセブン-イレブン・ジャパンだ。日本独自のコンビニというビジネスモデルを創り上げたのが彼らであることは間違いない。

 ところが最近は、人手不足や過剰出店に苦しむフランチャイズ加盟店との間で、営業時間や粗利の分配比率をめぐって対立し、経済産業省や公正取引委員会が是正に乗り出すほどの社会問題となっている。

 にもかかわらず自ら抜本的な見直しに踏み込めないのは、自前主義によって、国内コンビニ業界で王者の座を築いた成功体験への、自信とこだわりが強すぎるからだと指摘されている。

 コンビニ業界2位のファミリーマートも、7Payと同時に独自のキャッシュレス決済サービス「ファミペイ」をスタートさせた。ただし、こちらは貯まったポイントをNTTドコモの「dポイント」や、楽天ポイントと連携させるなど、セブンとは異なる「オープン主義」を掲げる。

 さらにファミマでは、キャッシュレス事業を進めるにあたっても、購買情報などビッグデータの活用を重視する親会社の伊藤忠商事が人材を送り込むなどして深く関与している。ローソンも独自決済サービスこそ始めていないが、決済関連部門に親会社である三菱商事の人員が入っている。

7payは利用者の安全・安心を守れなかった 7payは利用者の安全・安心を守れなかった Photo by S.O.

 その一方で、セブン&アイ・HDで重要なのはリアル店舗のコンビニ。商品開発、出店、オーナー対応といったコンビニ運営に関わる部署が花形で、前述のオムニセブンなどネット関係の部署は一段低く見られている。ITや決済関連の専門知識を持つ社員の数はそもそも少なく、人材が払底している。

 記者会見で失態を曝した7Payの小林社長は、かつてセブン&アイ・HD取締役として「オムニチャネル推進室長」を務めたものの、鈴木敏文名誉顧問が追いやられたクーデターよりも前の15年5月に取締役を退任。グループ内の出世の“本流”から外れた人物と目されていた。

 それに加えて、7Payには他の事業会社で問題を起こしたり、成果を上げられなかった社員が送り込まれたりするケースがある。こうした環境では社員のモチベーションも保てず、独自のキャッシュレス決済サービスを導入するのに十分な体制だったか疑問符がつく。

 後発組にもかかわらず、利用者の「安心・安全」を守れなかった7pay。キャッシュレス決済そのものへの信頼を失墜させた責任はあまりに重い。