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“成功を自慢する場”?
キャリアに重きを置く人にとっての同窓会

 たまに“同窓会は成功を自慢する場”という説を耳にすることがある。キャリアに重きを置く男性にとってはまさしくその通りであろう。この観点に立っていえば、BさんやDさんは自慢できる成功がないと自己分析しているがゆえに同窓会をおっくうに感じるようになった。

 しかし、成功していても同窓会がおっくうに感じられるケースがある。

 ミュージシャンとしてそれなりの成功を収めているEさん(36歳男性)は、ここ数年でようやく同窓会の招待を受けるようになったが、2つの理由から同窓会を煩わしく思うそうである。

「今はそれなりにあか抜けた自負があるけど、中学、高校は正真正銘のオタクだった。同窓会で再会した友人たちに『変わったね!』と確実に驚かれるはず。それがなんとも座りが悪い。自分の恥ずかしい過去を知っている人たちを前にしなければいけない、みたいな。

 それと、日本人なら誰もが知っているようなアーティストのバックバンドで演奏する仕事もあり、同窓会で『なんの仕事をしているか?』『どのような場所で演奏するのか?』と尋ねられればやはりそのことを伝えると思う。すると周りの人たちは社交辞令にせよ本気にせよ『すごいねー』と感嘆する。

 これは嫌みではなくて、そのバックバンドなどをやることを僕自身が全然すごいと思っていなくて、そもそもが本当はバックミュージシャンではなくて表舞台に立つアーティストを目指してきていたので、現在を褒められてもあまりうれしくない。でも実際褒められたら嫌そうにしてはいけないし…」(Eさん)

 他人から見ればまごうことなき成功であっても、本人が納得できていないのであれば悔しさが残る。同窓会は主に再会を喜ぶ場なのであまり深い話になることはなく、近況報告をし合うような浅い会話の応酬に終始する。