去る6月26日、消費税増税を含む社会保障・税一体改革関連法案が、民主、自民、公明3党などによる賛成多数で衆議院本会議を通過した。振り返れば、今回の法案採決を巡る政界の動きは、「ドタバタ劇」とも言えるものだった。採決後に世間の人々の声を緊急調査すると、怒りとも落胆ともつかない声が続出。今国会において、国民不在の議論が行なわれてきたことを象徴しているようだ。彼らの生の声を紹介しながら、壮大なる「消費税祭り」の後に残された課題を検証したい。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)
膠着状態の民主党執行部と造反組
混迷続く衆院採決の「祭りのあと」
消費税の増税が、いよいよ現実のものになろうとしている。去る6月26日、社会保障・税一体改革関連法案は、民主、自民、公明3党などの賛成多数で衆議院本会議を通過した。今後舞台は参議院に移るが、衆院で可決されたことにより、消費税率は2014年4月に8%、2015年10月に10%へと、段階的に引き上げられる可能性が高まった。
振り返れば、今回の法案採決を巡る政界の動きは、「ドタバタ劇」とも言えるものだった。野田佳彦首相が消費税増税に「不退転の決意で臨む」と表明してから、政界では与野党の利害が交錯し、「国民に信を問うべき」というかけ声のもと、解散総選挙の可能性が浮かんでは消えた。多くの国民の目には、「消費税を理由にした権力闘争」と映ったことだろう。
最終的には、民主党が野党に大幅譲歩する形で修正協議が進み、衆院での採決を迎えることとなった。民主党内からは、小沢グループを中心に57人が反対、15人が欠席・棄権するという大量造反者を出す結果となり、鳩山元首相も党最高顧問を辞任する意向を表明して反対に回った。
法案可決を経た足もとでは、民主党内の不協和音がいよいよ広がっている。反増税のリーダーである小沢一郎元代表は、「党に残る」と言ったかと思えば新党結成を匂わせるなど、玉虫色の発言が方々で報じられ、今後の出方をうかがっているように見える。それに対して、党の分裂を恐れる執行部は、反対派への厳しい処分について明言することを避け続けている。