米中問題が悪化する可能性
市場が再び動揺するリスクも

 政治的な問題の先行きを見通すことは困難だが、あえて今後の展開を予想すれば、米中問題は悪化するリスクが高い。

 米国が中国に要求しているポイント(特定産業への補助金、進出企業に対する技術移転の強要など)は、中国が受け入れることが難しいからこそ、5月の中国による関税引き上げに繋がったといえる。米中交渉は、5Gなどを含めた情報最先端技術の覇権争いという観点はあるが、中国企業が得た情報が中国政府に筒抜けになっている(むしろ積極的に提供している企業もあると疑われている)こと、中国の政治体制が自由資本主義体制ではなく共産党による一党独裁体制であり、多くの点で自由が制約されていること、南シナ海などへの領土拡大の野心があると疑われること、などを勘案すれば、単なる覇権争いといった単純な側面だけではない。

 つまり米中貿易戦争は、貿易不均衡の問題や先端技術の覇権争いではなく、安全保障面での問題といえる。今の米中関係は「新冷戦」と指摘されているが、それは単純に両国の関係が冷え込んでいるだけではなく、互いが軍事的にも緊張していた米ソ冷戦と同等の状態にあるという意味で的を射ている。

 再開された米中貿易交渉は、今後いくつかの点で小さな成果を上げることはできても、肝心の分野において合意を得ることは極めて難しいだろう。2020年に米大統領選挙を控えていることを勘案すれば、そう遠くない時期にトランプ大統領が関税の再引き上げをちらつかせ、交渉期限を設定するだろう。交渉は互いの限界を際立たせるものになるに過ぎず、最終的には決裂するリスクがある。

 このように考えれば、米中問題は市場を再び動揺、もしくは抑圧する公算がある。ただし現段階で問題となっている国際問題は、米中問題だけではない。新たに、日韓間でもきしみが生じている。今後は、日韓貿易に波及するリスクも否定できない。