イランの巡視艇が「コクカ・カレイジャス」に接舷し、革命防衛隊員が不発の水雷を回収している」とする米軍の“証拠写真”はつじつまが合わない。不発があったか否か、は事件後はじめて分かる。事件発生後にはタグボートが駆けつけてアラブ首長国連邦のカルバ港へ曳航し、米駆逐艦「ベインブリッジ」も来て同船の乗組員を一時収容、船内の安全確認を行ったのち乗組員は元の船に戻った。多くの人々の関心が攻撃を受けた船に集中する中、イラン革命防衛隊員が船に乗り込んで証拠隠滅をはかる、と言うのは変だ。まるで火災現場に消防車やパトカーが集まる中、放火犯が現れて証拠品を回収するような話だ。この写真は13日の夜に撮影されたようで、もしイランの巡視艇が来たのなら、米国あるいは他の反イラン勢力の犯行の証拠を探そうとしていたとも考えられる。

 米国は「吸着水雷」の磁石の破片を同船から回収し「イラン軍のパレードに出ていた物と酷似している」とも発表した。だが弾道ミサイルや戦車などが行進して威容を誇示するパレードに、特殊部隊が密かに使う小型水雷のようにまったく見栄えのしない物を出すとは考えにくい。

 ポンペオ米国務長官は6月13日の記者会見で「イラン政府は日本のタンカーを攻撃、乗組員の生命を危険にさらした。安倍首相がイラン訪問中に事件を起こして日本を侮辱した」と述べた。だが「コクカ・カレイジャス」はパナマ船籍でパナマ国旗を掲げ、船尾にも船籍港の「パナマ」が書かれている。

 船の所有者は法的にはパナマ企業で、それが日本企業の子会社であることは攻撃する側には簡単には分からない。ポンペオ国務長官は、米国の対イラン強硬策への国際社会の批判が強い中、なんとか日本人に反イラン感情を抱かせ、イラン包囲網に参加させようとしている様子だ。

 米国は「イランがホルムズ海峡の封鎖を目指している」と言うが、それをすればイランは自国の原油輸出を妨げ自分の首を絞める結果となる。一方、米国はシェール・オイルの産出で石油輸出国になったから、ホルムズ海峡の閉鎖で原油価格が上昇すれば、米国を利することになるのは明らかだ。イランが軽々とそのような愚行をするとは考えにくい。

米国の虫のいい構想
「自衛隊の派遣」否定は当然

 ロイター通信によれば、ダンフォード大将が想定している「有志連合」では米軍は指揮統制や警戒監視、情報収集を行い、各国の商船はその国の艦艇が護衛するという。米海軍は護衛の艦艇を出さず、指揮だけするなら、安上がりにイラン包囲ができる虫の良い構想だ。