実はこれからもっと上がることは確定的だ。理由は簡単で、需給バランスがより逼迫するからだ。空き家が問題だというのは、地方での話だ。都市圏では空き家が足りずに家賃が上がっているのだ。日本人も外国人も大量に都市圏に流入しているのに対して、貸家の新規着工はスルガ銀行の不正融資問題発覚以降、金融庁の締め付けで大幅に減り始めている。需要が増えて供給が減れば、今より空室率が下がるのは当たり前だ。

 空室率が0%に近づくと、不動産市場は狂乱の様相を示すことが多い。その最たるものが1980年代後半のバブル経済だった。現状はそれに近づいていることを直感的に把握した事業者が、予測調査を依頼することが最近多くなった。

家賃が上がると
マンション価格が上がりやすい

 このインフレ状態を誰も報じないのには理由がある。現在、デフレ脱却を旗印にアベノミクスが続いている。デフレは借金大国の日本にとってかなりまずい状態だった。だから、インフレに転じた折に、かつてのバブル経済の再来のように問題視されると、政府は経済政策上、困ってしまう。そんなことをメディアが忖度しているとは思いたくないが、実際、インフレに関する話が報道されることはあまりない。しかし、家賃まで値上がりしている現在、「家賃÷価格」で算出する利回りは上がる傾向にある。利回りが高いものは買われる傾向が強くなるので、マンション価格は上がることになる。

 新築マンション価格は売れ行きが悪くても安定的で、それよりも立地がよい中古物件は稀少価値が付いて値上がりし、家賃は需給バランスで大幅に値上がっている。これだけの状況になりながら、巷で言われているように「マンション価格が暴落する」ということには根拠と意味を見出しづらい。それを言うなら、「いつまでに何%下がる」というように、下落する時期と下落幅を明記してもらいたいくらいだ。

(スタイルアクト株式会社 代表取締役 沖有人)