その「お家の事情」とは、ズバリ前原誠司衆院議員の存在であるようだ。

 前原議員といえば、希望の党への「抱きつき心中」のような愚行により民進党を破滅させた張本人。どこに行ったのかと思いきや、何の責任も取ることなく、のうのうと希望の党、国民民主党と居座り続けている。

 では、なぜ彼の存在が「お家の事情」なのかといえば、彼が民主党時代から一貫して強力な財政再建論者、緊縮財政論者にして、増税派だからである。そして前原議員は党の税制調査会の顧問。「税調の議論を主導する立場ではない」とはいえ、顧問であり、ないがしろにすることもできない。

 加えて、民主党、民進党を通じて、自らのグループ凌雲会を率いてきた派閥の領袖のような存在。泉健太政調会長はこの凌雲会所属であるのみならず、地元選挙区が同じ京都と、いくら経済政策についてマトモな認識を持っていたとしても、前原議員の影響下にあり、政策的であろうと彼に真っ向から盾突くのは無理であろう。

国民や国のことを
本当に考えているのか

 極端な主張をしろとは言わない。そんなことを言ったとしても、実現可能性が極めて低いのであるから意味がないどころか、有権者をさらにしらけさせるだけ。しかし、真に国民のこと、この国のことを考えるのであれば、この国の行く末のことを考えるのであれば、経済政策について正々堂々と主張を展開し、各党で論争すればいい。

 そうした方が選挙は盛り上がるし、有権者の関心も高まっていったことであろう。ところがそうしたことより、自分たちの内部事情が優先させられてしまっているのが今回の参院選の一つの側面であるといえる。それが争点を見えにくくし、何を基準に選んだらいいのかを分かりにくくし、全体的にしらけムードを醸成してしまっているのだろう。

 経済政策で消費税の廃止にまで踏み込み、法人税制の累進化等の税制改革のみならず、インフレ率目標に達するまでの国債発行による歳出拡大を前面に押し出しているのは、かの山本太郎氏率いる政治団体「れいわ新選組」ぐらいである。

 タブーがなく、経済政策について真にしがらみのない彼らは、今回の参院選の台風の目ともいわれている。実際、「れいわ新選組」の街頭活動には日を追うごとに聴衆の数が増えている。

 しかも、運動員も、左翼活動家崩れやかつての学生運動の闘士、ヒッピー崩れなどではなく(もちろんその手もゼロではないと思うが)、ごく普通の若者たちが中心である。ステルス票ともいわれる「れいわ新選組」票が、野党が中途半端で煮え切らないままであれば、そうした野党票を食うことになるかもしれない。

 その可能性を知って、自民党は陰では「れいわ新選組」に感謝しているとも聞いている。

 選挙の終盤の終盤ぐらいは、マトモな経済政策論争を交わして、少しでも参院選への関心を高めてもらいたいところだが、期待薄か……。