新野社長は「営業利益率5%はこれから先のスタートラインに立つということだ。世の中では同10%は当たり前で、そこに(利益率を)持っていくのはものすごく高いハードルがある」と率直に語っている。

 これまでのようにコツコツと経費を削減したり、課題事業を売却したりするだけではグローバル企業と肩を並べるのは難しい。

 かつて世界首位だった半導体や国内首位だったパソコンといった金の成る木をつくれなければ、タマネギの皮を剥くように事業を売却し、縮小していく「タマネギ経営」からは脱却できない。

AIや5Gを追い風にできなければ致命的

 そこでNECが中軸事業にしようとしているのが第5世代通信規格「5G」や人工知能(AI)、あらゆるモノがネットにつながるIoTなどだ。問題は、中軸事業の候補のいずれもが数年で勝負の大勢が決してしまうマーケットであることだ。つまり、リストラという手術を終えたばかりのNECは、退院後にいきなり大勝負を迎える。

NEC本社ビル
NEC本社ビル。新野社長は現中計目標の達成を弾みに、営業利益率10%への道筋を描けるのか Photo by H.S.

 その危機感は当然NEC幹部も持っている。

 銀行や製造業などにITシステムを提供するエンタープライズ事業を担当する堺和宏常務は7月16日の事業説明会で、顧客のIT投資がAIやIoTに急速にシフトする予想を示し、「(需要の変化に)対応できなければ顧客の投資が変化する中でシェアを失うだろう」と述べ、AI人材などの確保に注力する考えを示した。

 この分野は、独シーメンスや日立製作所といった従来からのライバル企業に加え、クラウド化を契機にBtoBを強化した米国のマイクロソフトやアマゾンといったIT企業もあり、強敵ぞろいだ。

 NECは強みとして「通信技術を持っていること」を挙げるが、ビジネスの実績では他社に先行を許しており、シェアを伸ばすのは簡単ではない。

 かつてのNECの本業である通信分野も不透明感が漂う。世界的に巨額投資が行われる5Gを追い風にできないリスクが生じているのだ。