裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、「ウイルス」「花粉」「光触媒で分解!」などとマスクのパッケージに表示したとして、消費者庁は今月、大衆薬大手の大正製薬に対し、景品表示法(優良誤認)に基づく措置命令を出した。大正製薬は不服として近く審査請求をし、国と徹底抗戦することがダイヤモンド編集部の取材で分かった。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
大衆薬大手、大正製薬が消費者庁から景品表示法(優良誤認)に基づく措置命令を受けてから2週間が経過した7月18日。ダイヤモンド編集部の取材に、大正製薬の高橋伊津美取締役は「理不尽な事に対しては正論を言い続けないといけない」と話し、措置命令を不服として、消費者庁に審査請求する方針を明らかにした。
高橋取締役は請求時期を明言しなかったが、行政不服審査法は審査請求する場合、処分を知った日の翌日から3カ月以内と定めている。高橋取締役はまた、国を相手取って処分取り消しの訴訟提起を視野に入れていることも明らかにした。
当該のマスクは「パブロンマスク365」シリーズ。トヨタグループの基礎研究を担う豊田中央研究所が開発した光触媒「V―CAT」を繊維に塗布し、「太陽光や室内光でもウイルス、細菌、花粉アレルゲン、臭いを光触媒で分解、除去」と製品パッケージに表示している。他社の光触媒マスクが宣伝するような「ウイルスなどが光触媒で二酸化炭素と水に変わる」といった表示はしていない。年間売上高は1000万円強程度で、大正製薬としてはヒット製品といえない代物だ。
大正製薬の説明では、措置命令を受けるまでの経過はこうだ。