「移籍に頼らざるを得ない状況も生じるかもしれないけれども、基本的には新卒で加入した選手たちを3年ないし4年かけて育てて、世代交代を進めていくスタイルを守りたい。それで選手が移籍していったら、また新たしい選手を育てればいい。ブラジルのようにヨーロッパに選手を獲られても、次から次へと才能ある選手を輩出するクラブになればいい」

 2010年代に入って新たに描かれた設計図に則れば、アカデミーや新卒加入組から主力へ羽ばたいた選手たちの代表が昌子や柴崎、植田、鈴木、安部であり、今現在のアントラーズを支えるMF土居聖真やDF町田浩樹となる。

 そして、移籍組でアントラーズを支えてきたのがDF西大伍(現ヴィッセル神戸)やFW金崎夢生(現サガン鳥栖)、DF山本脩斗、MF三竿健斗、MF永木亮太、DF犬飼智也、MF白崎凌兵、安西、FW伊藤翔となる。三竿と永木、安西はアントラーズでさらに成長して、日本代表入りも果たした。

 さらに次代を担う生え抜きの若手として、アカデミー出身のMF平戸大貴やルーキーのDF関川郁万(流通経済大学柏高卒)、MF名古新太郎(順天堂大卒)がいる。来シーズンはFW染野唯月(尚志高3年)、その次のシーズンからはコパ・アメリカにも出場したFW上田綺世(法政大学3年)の加入も決まっている。

 流通経済大学から昨夏にシント=トロイデンVVへ加入し、今年3月に期限付き移籍で加入した左サイドバック、22歳の小池裕太は早くも安西の穴を埋めている。多彩なタレントをまもなく40歳になる生え抜きのGK曽ヶ端準、昨シーズンに約8年ぶりに復帰し、今現在はキャプテンを務める31歳の内田、同じく31歳のMF遠藤康らのベテランが縁の下でしっかりと支えている。

 若手の移籍ラッシュの渦中で迎えた13日のベガルタ仙台戦で、アントラーズは4-0の快勝を収めている。言うまでもなく安西、安部、そして鈴木もピッチに立っていない。

 鈴木強化部長が追い求める、次々と才能ある選手を輩出するクラブは理想的な循環の中で、リーグ戦で首位のFC東京に勝ち点5ポイント差の4位につけ、連覇を目指すACLではベスト8へ進出。準々決勝から登場するYBCルヴァンカップ、3回戦へ進出した天皇杯全日本サッカー選手権を合わせて、存在するすべてのタイトルを手にできる可能性の中で、夏の陣へ挑んでいく。