ヤフーとアスクルの対立の本質は、ソフトバンクグループの「孫」と「ひ孫」にあたる2つの上場会社で発生した利益相反だ。持ち株会社への移行で事業再編を控えるヤフーは、これにどう向き合うか。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
データビジネスで鍵握る
アスクルのEコマース
「アスクルの成長事業が乗っ取られる」――。
ヤフーの連結子会社で通販大手のアスクルの岩田彰一郎社長は7月18日の記者会見で危機感を露わにした。2012年にヤフーと共同で立ち上げた電子商取引(Eコマース、EC)サイト「ロハコ」。その成長事業をヤフーに奪われることを警戒したのである。
ソフトバンク子会社のヤフーには、今年10月に持ち株会社「Zホールディングス」に移行し、事業会社のヤフーとアスクルをその傘下に収める計画がある。ソフトバンクとの合弁会社ペイペイもぶら下げて、決済とEコマースを組み合わせたビッグデータビジネスを実現することを図るものだ。
背景にあるのは、ソフトバンクグループ社長の孫正義氏が出資した中国アリババの成功体験。アリババモデルを日本で再現するなら、ヤフーが持つネット上のサービスだけではEコマースを発展させるのは難しい。そこで、リアルな物流ネットワークを持つ個人向けECのロハコは重要なパーツになり得る。