「ひ孫」の悲鳴で表面化した
ソフトバンクグループ内部の利益相反

 ヤフーにとって、アスクルの猛反発は想定外だった。岩田社長が訴えたように、この対立の本質は二つの上場会社の利益相反にありそうだ。資本の力で強引に対立関係を解決しようとするヤフーをアスクルが「乗っ取り」という過激な表現で痛烈に批判し、問題が表面化した格好だ。

 ヤフーは8月2日のアスクル株主総会で、岩田社長の再任に反対し、4人の社内取締役の再任には賛成する方針だ。5人の社外取締役の再任については「賛否を決めていない」(広報)として、取締役会の過半をヤフーが握る可能性を示唆している。

 ヤフーが株主総会当日に修正動議を出して、会社提案の社外取締役候補に代わる役員を送り込めば、アスクルが叫ぶ利益相反の主張を資本の力で封じ込めることは可能だ。ヤフーとアスクルの提携契約には、ヤフーが株式を買い増しできない規約があるが、取締役会の過半を押さえてこの規約を見直せば、アスクル株のTOB(株式公開買い付け)によって非公開化する選択肢も生まれる。

 社長の首をすげ替えるだけでは利益相反は解決されそうもないが、資本の論理を突き詰めれば、最終的には株式の非公開化、つまり上場廃止が選択肢に浮上する。ソフトバンクグループにとって、ソフトバンクは子会社、ヤフーは孫会社、ヤフーの連結子会社であるアクスルは「ひ孫」会社であり、それぞれが上場している。ヤフーはアクスル株の上場廃止にまで踏み切るか。それとも、アスクルの申し入れに応じて保有株を手放すか。

 持ち株会社への移行を進めるヤフーには、グループ内部で発生した利益相反問題が立ちはだかっており、その問題から目を背けることはできない。