地域金融の模範として注目されてきたスルガ銀行は、なぜ過度なリスクテイクへと舵を切ったのか Photo:PIXTA

リスクテイクを拡大する方向に
大きく舵を切る日本の金融機関

 昨年来、地域金融機関での不正融資に関する報道が相次いでいる。スルガ銀行は2018年4月、不動産販売業者が斡旋する不動産投資用の個人向け融資での審査不正について金融庁の緊急検査を受けた。西武信用金庫は今年5月、同様に不動産投資を目的とする個人向け融資における審査書類の偽装などに関して、金融庁から業務改善命令を受けた。前者は安定した高収益性、後者は地域密着型金融への積極的な取り組みの観点から、地域金融の模範として注目されてきた金融機関であった。

 他方、2013年の異次元緩和開始以来、邦銀による外債などリスク資産保有拡大がたびたび報じられてきた。米国の社債保有者データを用いた国際決済銀行の研究によれば、日本やドイツなど、長期金利がマイナスに陥っている国を拠点とする金融機関が積極的に米国の低格付け債を購入している。低格付け債は、利回りが相対的に高いものの、近い将来に予想される米国の金融緩和解除の局面では急激に値下がりするリスクをはらんでいる。

 不動産関連投資への融資や低格付け債の購入を積極化するという現象は、日本の金融機関がリスクテイクを拡大する方向に大きく舵を切っていることを端的に示している。

金融緩和によるリスクテイク拡大
厳しい競争条件下では利ざや縮小

 金融緩和に伴うリスクテイク拡大は「search for yield」(利回り追求)と呼ばれ、関連する学術研究が近年急速に進んでいる 。

 金融緩和の初期段階では、短期金利が低下する一方、長期金利はさほど低下せず、預金で集めた短い資金を長期融資で運用する銀行の利ざやは拡大する。利ざやが拡大すれば、審査や与信管理にコストをかけて安全な運用を行う余裕が銀行に生じる。