7月3日に公開したスルガ銀行2トップインタビュー(上)では、今回のシェアハウス問題の背景にある創業家支配の構図に焦点を当てた。2回目となる今回のインタビュー(中)では、預金流出や自己資本比率の低下などの財務状況に加え、懸案事項であるシェアハウス問題と、不祥事を引き起こした元凶ともいえる創業家に対する姿勢について聞いた。(ダイヤモンド編集部 中村正毅、藤田章夫)
――今回の一連の不祥事を受けて、この1年間で9000億円を超える巨額な預金が流出しました。
有國三知男社長(以下、有國) 昨年9月の第三者委員会による報告書の公表や、10月5日に行政処分が発表されたことによって、9月から12月にかけて預金が大幅に流出しました。大きなダメージを受けたのは事実ですが、11月末に業務改善計画を提出して以降は、比較的落ち着きを取り戻しています。
また、2019年3月末の手元流動性も公表した通り、十分な水準を確保できていると考えています。
――とはいえ、自己資本比率は、18年3月期の12.15%から19年3月期には8.8%にまで下がっています。決して十分な水準とはいえないと思いますが、自己資本の積み増しは考えていますか?
有國 前期の決算は約971億円の赤字でしたので、自己資本比率は4%ほど大幅に下がりました。ただし、今期は105億円の黒字を見込んでいます。これはかなり保守的な数字です。全てのポートフォリオが傷ついたわけではありませんので、きちんとした金利収入があるためです。
資本については、利益を積み上げることで自己資本を回復させていきます。もちろん、いい案件があれば前向きに検討しますが、現段階では資本を入れてもらうことは考えていません。