「やり切る」ことで、苦手意識を変える
こうして女性を目の前にしても、固まらなくなってきた次の段階で、女性との自然な会話に慣れるために、一対一で会話する訓練をすることにしました。
ここでも失敗を恐れる僕の性格が出てきているとは思うのですが、身近な大学サークルや同級生など、知り合いだと恥ずかしいし、うまくいかなかったとき、後から顔をあわせるのが気まずいからリスクが高すぎる。そう考えた僕は自分や周囲がまったく知らない人と練習することにしました。
その方法の1つとして、ナンパや合コンがありますが、自分にはハードルが高すぎたので、今でいうマッチングアプリのようなものを使って、女性にSNSでメッセージを送ってみるという方法を試してみました。
これなら仮に返信が来なくて失敗したとしても、相手とは直接会ってもいないし、誰なのかすらわからないので、失敗を気にすることなくチャレンジできる、そう思ったからです。
初めてメッセージのやり取りをする相手のプロフィールを見て、どうしたら返信してもらえるのか。訓練だと思って、大学では休み時間のほとんどを使って大勢の人にメッセージをずっと送りまくっていました。
そんなことを毎日繰り返していると、100通送った場合に、だいたい半分くらいは返信が返ってくるようになりました。その後、会話のキャッチボールが続くのはさらにその半分、日をまたいでやりとりが続くのはさらにその半分、そして、実際に会えるのは100人中1人いるかいないか…そんな確率でしたが、実際に会って話をするまでいくと、ある程度、自信もつくようになっていき、徐々に女性とのコミュニケーションに慣れていったのです。
実際に会ってみるのと、メールでのやりとりをするのとではかなり違います。
当然、見た目も気にしなければいけませんし、いかに相手に好感を持ってもらうかなども考えなければいけません。
そのために、モテる友人にオシャレな服やら香水やらについて聞いて買ってみたり、ファッション雑誌を買って髪型やら服のセンスやらを勉強したり、カラオケで何を歌えば盛り上がるかを調べて、それを練習したりと、リアルな場でのトレーニングもやりました。
実際に会ったのは同世代の大学生ばかりでしたが、1回だけ会って、その後音沙汰なしの人もいましたし、自分ルールで3回デートしたら告白するというルールを決めていたので、それで付き合ったりもしましたが、今度は付き合った後のことを勉強していなかったので、すぐに別れてしまって、次は恋愛について勉強を始める必要がありました。
この頃はまさにコミュニケーションのトレーニングを積み、やる切ることで苦手を克服した、そんな感じでした。
圧倒的な数をこなし「マジックメーラー」が誕生
トータルで何千通ものメールを送り、圧倒的な数をこなしたことで、だんだんとメールの反応もあがっていきました。
その結果、大学の友人から、女の子からメールが来たのだけど、どう返信すればいいか? という相談が来るまでになったのです。当時、ロンドンハーツのマジックメールという企画が流行っていたので、「マジックメーラー」というあだ名で呼ばれていたりもしました。
素直に喜んでいいものか複雑ではありますが、昔の自分を振り返れば、コミュ障をかなり克服できたのかなとは思います。どうしたら返信が返ってくるか、どうしたら好感を持ってもらえるか、そういったことをひたすら分析しながらやっていた結果です。
このおかげで、初対面の人にメールを送るのは怖くなくなりました。
また、その後のメールを出して、いろんな人に会いに行くのも怖くなくなったのは、このトレーニングのおかげだと思います。
(続く)