ネットとスマホのこの時代、ボードゲームがにわかに注目されている。2014年11月に発売されたボードゲーム「枯山水」(発売元:ニューゲームズオーダー )は、「庭造りで“侘び寂び”を競う」というゲームコンセプトの渋さが注目を集め、1セット8100円(税別)というやや高めの価格設定ながら、今年2月末までに860セットを売り上げた。

 また、国内最大級のアナログゲームイベント「ゲームマーケット」(主催:アークライト)も、2000年の初開催以降、年々規模を拡大している。11年からは春・秋の年2回開催、12年には大阪会場も加わり、その翌年から東京会場は東京ビッグサイトに変更となった。昨年開催された「ゲームマーケット2014秋」の来場者数は過去最高の7200人。出展者数も前年から10増えて340を超した。

 アナログゲームに加え、スマートフォンやコンソール系ゲームの開発、その他デザイン関連業務を請け負うオインクゲームズの佐々木隼CEOは、こう語る。

オインクゲームズの最新作「海底探検」。潜水艦に乗って海底の宝を探しにいく。「その場の盛り上がりをリアルに感じることができる」ことが、アナログゲームの強みだ

「アナログゲームの一番の魅力は、その場の熱度や盛り上がりをリアルに感じ取れるところにあります。私自身、ソーシャルゲームやテレビゲームも好きでよくプレイしますが、対戦相手との会話、表情、しぐさ、声、触感など、多くの“情報”が抜け落ちているように感じることもあります」。

「もちろんそれぞれに特長があるので良し悪しの話ではありませんが、対面でのプレイが基本となるアナログゲームファンが増えているのは、世相を反映した流れなのかなと思います」。

 佐々木氏は、同社設立前に映像制作やグラフィックデザインの仕事と平行してアナログゲームを創作し、ゲームマーケットへの出展に合わせて年2、3本のペースで新作をリリースしていた。

 佐々木氏曰く、「作り手のクリエイティビティを刺激する要素が、アナログゲームにはある」とのこと。パッケージのあしらいや使用するコマ、コイン、カードのデザインなどはもとより、ルールを一から生み出すのは非常に刺激的だそうだ。