女子と話せない、目を合わせられない…
そんな僕が挑んだ初デート

 僕には小学生のころに好きだった女の子がいました。しかし、失敗するのが怖かったため、当時は、結局告白も何もせず、そのまま大学生になっていました。しかし、大学1年のときに、その女の子と再会したのです。
 僕はボードゲームという趣味に没頭しすぎて、自分の好きな趣味以外で話すことができなくなっていたと言いましたが、特に女の子に対しては、基本的に共通で話せる会話はまったくなく、それどころか目を合わせることもできないような奴でした

 そもそも、小さいころから「失敗したらいけない」という価値観が刷り込まれていたせいか、自分からコミュニケーションを取って、盛り上がらなかったら……という気持ちが強く、会話もろくにできませんでした。
 しかし、その彼女とは小さい頃によく遊んでいたので、彼女に対してはそこまで人見知りすることもなく、なんとか勢いで一緒に出かける約束を取り付けることができたのです。
 そして当日。僕は、目の前に突然降ってきた「デート」という非日常イベントに、どんな会話をして、何をすればいいかまったくわからず、全然対応ができませんでした。
 細かいことは省きますが、結局のところ、相手のことを考えてこなかったこれまでの自分の行動が裏目に出るばかりで、デートは失敗に終わってしまいました。今まで、自分の好きなボードゲームしかやってこなったツケを、ここにきて支払うことになったわけです。

人見知り、引っ込み思案を
克服する方法

 当時、このときのショックがとても大きくて、僕は女性との“コミュ障”をなんとかして克服することに決めました。

 まず、大学の友達と原宿に出かけて、大学生に人気のあるポール・スミスの時計を思い切って買いました。その時計は4万円くらいして、バイトを始めたばかりの僕にとっては高額でしたが、物心ついて以来、人生で初めてファッションにお金を使った経験だったので、明確に覚えています。
 このとき、「僕はここから変わる!」と時計に誓ったのです。
 そして、次に、恋愛や女性に関する本を買って読んで研究に没頭しました。といっても、20〜30冊しか読んでいませんが、そこで女性の特性の基本をなんとなく理解したように思います。
 例えば、男性は自分の悩みを解決したいから話すけれど、女性は自分の悩みを解決してもらいたいのではなくて、「ただ聞いてもらいたい」のでむやみに口出しせずに聞き役に徹すること。また男性は中身をディスられるとショックが大きいけれど、女性は外見を言われた方がショックなので、見た目を批判してはいけない等々……。
モテている人には基本中の基本みたいなものかもしれませんが、そういった本を読んで、コミュニケーションの基本を片っ端から吸収していきました。

 そしてアルバイトも自分と同じくらいの年齢の女性が多く働いている職場を選びました。これは、とにかく女の子を目の前にしても、固まらないようにする訓練だと思ってやっていました。このとき、僕は、結婚式場、カラオケ店、パチンコ店の3つをかけもち。アルバイトではありますが、仕事であれば、どうしたって、女の子を目の前にして会話せざるを得ません。会話に慣れるための場数を踏むには手っ取り早いと考えたのです。