この状況でも、中国政府は市場活性化策が打ち出せていない。そのため中国資本の自動車メーカーの間に「不満の声が広がっている」という報道が現地でも見られる。中国は排出ガス規制を現在の国5をより厳しい国6に移行させる段階にあり、これと市場減速が重なった。統計が発表されている1~5月累計で見ると、中国メーカーの販売台数は前年同期比23.4%減と、大きく落ち込んでいる。

 中国政府はNEV(ニュー・エナジー・ビークル=新エネルギー車)のための補助金廃止を予定どおり来年実施する方針だ。NEVはBEV(バッテリー充電式電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCEV(燃料電池電気自動車)の3方式で、通常のエンジン車にくらべると割高だ。現在は補助金の効果で販売台数は伸びている。しかし、補助金がゼロになったら……。

NEVにハイブリッド車を加える可能性
トヨタとホンダは大いに有利に

 こうした状況にもかかわらず、中国政府は、NEV販売のクレジットを訂正する案を示した。現在は航続距離300kmのBEVを1台売ると5ポイント、PHEVを1台売ると2ポイントのクレジットを自動車メーカーは得られる。このクレジットの合計によってNEV販売目標未達成に関する罰金の有無が決まる。

 中国政府が示した新クレジット案は、BEVが一律半減、PHEVは2ポイントから1.8ポイントに減少といった内容。事実上のNEV販売目標値引き上げである。中国の自動車業界の間では「なぜこの時期に規制強化なのか」という不満の声が上がっている。一方で、NEVにハイブリッド車(HEV)を加える可能性があり、そうなるとトヨタとホンダは大いに有利になりそうだ。

 NEV規制実施に当たって中国政府は、最もコストのかかる2次電池(充電式バッテリー)の価格を抑えるため、政府指定の中国企業から購入した2次電池を積んでいないNEVは、クレジット対象外という保護策を採った。しかし、これも今年6月で廃止になり、100社以上ある2次電池メーカーの間で価格競争が激化しつつある。市場の減速に加えて排出ガス規制・国6の実施、NEVクレジットの見直しなど、自動車メーカーにとってはますます厳しい状況だ。

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(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)