部長の「愛あるイジり」に疲弊する部下、パワハラのNGラインはどこか部下や同僚をイジって楽しんでいる幼稚な人はいないだろうか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

社員の馬場は営業部に異動して以来、部長からイジられていた。ある日の営業会議で部長から「チームメンバーの覇気がない」と叱責され、ついに馬場はキレてしまう。その後、人事部の宮本に部長のパワハラ問題について相談する。事態を重く見た宮本は部長にヒアリングをするも、部長は態度を改めようとしない。その晩、部長が不機嫌な表情で帰宅すると、心配した妻は…。(特定社会保険労務士 石川弘子)

S社 概要
首都圏にある従業員数300名ほどの特殊素材を扱う商社。体育会系の社風で上下関係は厳しい。長時間労働がはびこるトップダウン型の組織で、パワハラも常態化している。最近は働き方改革の影響を受けて、長時間労働の改善に努めようとしている。

登場人物
本島部長:40代後半のジャイアン気質な男性営業部長。パワハラまがいの言動のせいで、この部長の下に配属された社員の離職率は高い。
馬場大輔:30代半ばの男性営業社員。2年ほど前に営業部に異動となり、真面目な仕事ぶりが評価され、リーダーに昇格した。鉄道マニアで女性と話すのが苦手な独身。本島部長に「馬場大輔」のイニシャルと「デブでブサイク」をかけて「DB」とあだ名を付けられている。
宮本由美:30代後半の人事部女性社員。長時間労働やハラスメントが常態化しているため、職場の環境を変えようと奮闘中。主にハラスメント相談を担当している。

上司のイジりに
ストレスをためる部下

「おい、DB!何でお前がリーダーなんだよ!」

 本島部長は、馬場の席の前に立つと、ヘラヘラと笑いながらそう告げた。リーダーに昇格したばかりの馬場は、緊張して声が上ずった。

「何でって言われても…」