赤字事業の切り離しは急務。
だが会社はまだ生きている!
この会社の社長から、私がアドバイザーを務める買い手企業のもとへ協力要請が入りました。
その買い手企業は自動車ディーラーで、数年前からこの会社にレンタカー車両を販売していた関係があります。社長同士も旧知の間柄で、レンタカー事業の再生に必要となる資金提供ができないかと腐心しました。
ところが、詳しく事情を聞くと、リース契約を含めた負債が大きく、赤字基調のレンタカー事業を手放さない限り他の主力事業へも大きな影響が出る可能性が高いことが判明します。赤字事業の切り離しは急務でした。
買い手企業のアドバイザーとしては、赤字基調の会社の再建を果たせるか、しっかりと見極めなければなりません。
詳細な調査を行った結果、売上そのものは伸びていて、従業員も明るく元気、猪突猛進の社長の心意気が伝わっています。会社はまだ生きている。赤字になった原因は閑散期の稼働率を意識しすぎるあまり安売り攻勢を仕掛けすぎたことと、勢いのある会社ゆえに車両の仕入価格の交渉が甘くなっていたことです。
多忙な日々を送る現場では、なかなか管理的な作業に時間が割けません。
仕入れ車両に値引きの余地が十分にあることなど、簡単にはうかがい知れません。これは、買い手企業が自動車販売会社だからこそわかったことかもしれません。
加えて、車両台数は今後も増える可能性があり、定期的に買い替えの需要も出てきます。それを一手に買い手企業が引き受ければ、メーカーとの仕入価格交渉を有利に進められる可能性が十分にある。問題は、その価値が会社の赤字を超える金額になるかどうかです。