ボリスが首相となったことで、英国はさらに「生存権」を巨大化する可能性があると考える。ボリスとドナルド・トランプ米大統領が電話会談において、EU離脱後の英国と米国が早期に「野心的な自由貿易協定」の交渉を開始することで一致したのだ。

 トランプ大統領は、「米英の貿易は英国がEUの一員であることで妨げられてきた。離脱後、両国間の取引は3倍から4倍、5倍増えるかもしれない」との見方を示した。大統領は以前から、米英自由貿易協定の構想に言及してきたが、「ケミストリーが合う」ボリスの首相就任で、一挙に話が進む可能性がある。

「TPP11」+米国+英連邦諸国で
超巨大自由貿易圏が誕生する

 また、英国は従来からEU離脱後の「米国抜きの11ヵ国による環太平洋包括連携協定」(いわゆる「TPP11」)への加盟を希望してきた(第192回)。ボリスが首相になっても、その方針は変わらないだろう。

 TPP11のうち、6ヵ国(カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール、ブルネイ)が英連邦加盟国だ。ボリスが、EU離脱後に英連邦という経済圏の再構築を目指すのは間違いなく、TPP11への参加は自然な流れである。

 TPP11への英国の加盟は、英連邦の再構築に加えて、実質的な「日英自由貿易協定」の締結を意味する。そして、日本の参議院選挙が終わったことで、日米の貿易交渉も本格化する。最終的に世界第1位(米国)、第3位(日本)、第5位(英国)の経済大国に、TPP加盟10ヵ国、他の英連邦諸国(インド、南アフリカ、ナイジェリアなど)が加わる、「超巨大自由貿易圏」が誕生することになる。

 そして、英国の優位性である「政治的リスクの低さ」「地理的条件の良さ(欧州、北米、中東、アフリカ、アジアをすべてカバーできる)」「知識・情報の集積」「高い技術力」「質の高い労働力」「ブランド」「英語」「参入規制の低さ」が生きてくる(第43回)。英国はEUの窓口ではなくなるが、米国、日本への窓口として、多くの新興国、資源大国を引き付けることになる。