無責任な評論家に相談しても仕方ありませんが、つらいときに人を頼ることは決して悪いことではありません。

 信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも冷静さを取り戻すことができるので、足元を見られたり、最悪の場合には騙されてしまったりするようなリスクを回避することにもつながります。

 この「人」のチカラについては、ふたつほど注意点があります。

 それは、「仲良し友達同士で起業する場合、その友人関係が終わってもかまわないという覚悟でやる必要がある」ということです。

 船頭が2人いる組織はとても不安定です。

 最初は「毎回相談して決めればいい」と思っていても、実際に「お金は出せ、でも口は出すな」といわれる立場になった場合に、自ら引き下がれるのかどうか。目指すゴールや意識の差、意思決定のスピードの遅さなどの影響も含めて、しっかり考えておく必要があります。

 また、「家族が理解してくれないため、起業はあきらめます」とおっしゃる方も、一定の割合で現れます。ご家族の理解や協力なしに起業の準備を進めることは非常に困難です。

 家族が不安に思う理由は、主にお金(安定収入)を失うかもしれないという心配でしょう。ご家族の気持ちとしっかりと向き合い、会社員のまま起業の準備を進める意味を十分に説明し、家族への責任を果たすためにあらゆる努力を惜しまず実行していきましょう。

起業準備で必要な
3種類のお金

 お金は、あらゆる活動をする際に必要になります。

 まったくお金をかけずに起業できるといったニュアンスの本や広告をよく見かけますが、それはあくまでも目を引くためのキャッチコピーです。移動には電車賃がかかりますし、打ち合わせをすればコーヒー代がかかり、ノートやペンも必要になります。

 起業準備で必要になるお金は3種類あります。

 ひとつは、独立後に家族のために使う「生活のための資金」。理想としては、1年間、無収入でも家賃や学費の心配がなく食べていける程度の貯金を準備します。

 ふたつ目は、事業を構築するために使う「投資資金」です。パソコンなどの設備を買ったり、ホームページを制作したり、備品を買ったりと、実際にはさまざまな出費があります。