10年半ぶり、米FRBが踏み切った「緩和的になり過ぎない利下げ」の影響米FRBが約10年半ぶりに利下げを決めた。FOMC後に会見するパウエル議長 Photo:ロイター/アフロ

リーマン危機以来の緩和
市場の関心は「今後」

 7月31日(日本時間8月1日)の連邦公開市場委員会(FOMC)で、連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を0.25%ポイント引き下げて、2%~2.25%にすることを決めた。

 利下げは、世界金融危機に世界経済が大きく揺れた2008年12月以来だ。

 FRBが遠くない将来に利下げに転じるとの観測は、昨年の暮れから市場にはあった。

 米中通商摩擦が長引き、関税引き上げの応酬が両国経済の首を互いに絞めあう懸念が言われ、昨年10月から年始にかけて株価急落やドル安など金融市場が大きく荒れると、利下げの可能性が市場に織り込まれ始めた。

 来年の大統領選を控えたトランプ大統領が、パウエル議長らの更迭などを匂わせながら執拗に利下げを求めたことも、市場の利下げ観測を強めてきた。

 今回のFOMCを前に、市場関係者の間での予想は、0.25%の利下げを想定した人が8割ほど、一度に0.50%の利下げを予想した人が2割ほど、といった予想分布だった。

 市場の大半が事前に利下げを織り込んでいたという点では、目立ったサプライズはなかったとはいえ、市場の関心はすでに、次の利下げはいつで、何回の利下げを今後FOMCのメンバーが想定しているのか、に移っている。