多様な働き方が求められる中、いまサラリーマンの起業や副業が注目を集めている。起業・副業のノウハウを紹介する本が数多く出版され、起業セミナーも連日のように開催されているが、なかなか成功できずに、次から次へと手法を学ぶだけの起業難民も多いという。では、どうすれば起業ができるのか――。これまで1万人超の起業をプロデュースし、『会社で働きながら6カ月で起業する』を上梓した新井一氏に、そのポイントを聞く。

起業セミナーでは「現場で使える知識」は手に入らない

起業セミナーを受ける際は
ここに注意!

 一般的に、起業セミナーは「行政系」「民間系」に分かれます。

 教えてくれる内容は、行政系なら補助金、資金調達などの情報提供が多いです。民間系では、税理士など士業の先生が主宰する場合には、法律、税務などの情報、企業が主宰する場合には、モチベーションアップ(コンサルに誘導)、IT(ホームページ制作に誘導)、SNSマーケティング(起業塾に誘導)、せどりやアフィリエイトなど特定ノウハウの紹介(スクールに誘導)などが多く見られます。

 セミナーへの参加は、知識を得るには手っ取り早いですが、「起業セミナーを受けてすぐに起業できるのか?」と考えると、ちょっと疑問です。セミナーでは一般論としての知識は手に入りますが、経験に裏打ちされた「現場で使える知識(知恵)」とは異なりますし、起業に必要な「人」や「金」のチカラについては手に入らないことがほとんどでしょう。

 また、起業塾やノウハウスクールに参加する費用もバカになりません。起業・副業のブームに乗って、費用も高額化の一途をたどっています。3ヵ月で50万円、半年で100万円を超える講座も普通に見られるようになりました。

 一方、セミナーポータルサイトなどを利用して極端に安い金額でコーチング面談などを行っている人たちは、あとから高額サービスを売るために、サクラ同士で評価を高め合ったりしている場合もあって、その実力や効果は未知数です。